COLUMN

RAGDOLL コラム

2022.07.20

わんちゃんの歯周病菌

皆様こんにちは、麻布大学獣医学部 薬理学研究室の福山です。
前回はワンちゃんの口臭とその原因となる歯周病についてお話をさせていただきました。
ワンちゃんの口臭や歯周病を予防・治療するには、その成立や特徴について知る必要があります。
今回からはワンちゃんの歯周病について、少し詳しめにお話しさせていただきます。

そもそも歯周病って何でしょうか?
前回お話しした通り、歯周病は人類史上最も罹患者数の多い細菌感染症です。
細菌感染症なので、当然原因となる細菌がおり、それが歯周病菌です。
歯周病はこの歯周病菌が歯と歯ぐきの間(いわゆる歯周ポケット)に感染・繁殖し、細菌や細菌から出される毒素によって、歯ぐきに炎症が広がります。
炎症が歯ぐきに限局している軽度な場合は歯肉炎、炎症がその周りに広がり、最終的に歯を支える骨が溶けてしまうと歯周炎に移行します。
歯周病の原因となる歯周病菌の中でも悪性度が高い菌はRed Complexと呼ばれ、Porphyromonas gingivalis、Tannerella forsythiaやTreponema denticolaがその代表です。
上記に加えて、ワンちゃんにはワンちゃん特有の歯周病菌が存在し、Porphyromonas gulaeと呼ばれます。
我々の最新の研究では、加齢に伴ってPorphyromonas gulaeの保有率は増加し、Porphyromonas gulae保有率の増加に伴って歯周病の悪化や残歯数の減少がみられており、歯周病菌の増加が歯周病の悪化に直接的に関与していることが分かっています。

じゃあ、歯周病菌の感染や増殖を抑えればいいよね!と簡単に思いがちですが、歯周病菌は酸素が嫌いな嫌気性細菌で歯と歯ぐきの間の隠れた部分(歯周ポケット)にまず感染します。
歯周ポケットで繁殖を繰り返しながら、自分を防御するためのバイオフィルム(いわゆる歯垢)を形成して、歯周ポケットの外側にも浸食を始めます。
歯垢が確認できたころには歯周ポケットの中はすでに細菌でいっぱいになっているので、獣医さんでの歯石除去など、適切な処置を早急に実施しないと歯根部と鼻腔がつながって鼻水がお口から出てくる、歯ぐきの壊死が進んで穴が開いてしまう事もあります。
歯周病は歯周炎まで進行してしまうと、元には戻りません。人間と同じように小さいころからのお家や獣医さんでの「予防歯科」がとても重要です。

歯周病自体は死に直結する病気ではありません。しかし、お口が臭くなったり、歯が抜けてしまったりすると、ワンちゃんはもちろん一緒に生活する飼い主さんもいい気分ではいられませんよね?
次回は歯周病の予防法についてお話ししたいと思います。

コラムの執筆者

所属研究室:麻布大学 獣医学部 獣医学科 薬理学研究室

福山 朋季先生

東京農工大学農学部獣医学科を2004年に卒業後,一般企業および米国獣医系大学(ノースカロラ イナ州立大学)で医薬品,化粧品,農薬,一般化学物質および動物用医薬品の安全性や薬効確認の 研究に従事し,2018年10月に麻布大学に赴任させていただきました。
現職では,①環境中物質が免疫機能に及ぼす影響評価,②ヒトや伴侶動物(ワンちゃんやネコちゃん )のアレルギー病態解明および対策商品の開発,③ワンちゃんやネコちゃんの歯周病機序解明および 新しいケア商品の開発,を関連する企業様と協力して実施させていただいております。

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