皆様こんにちは。猫ちゃんの飼い主さんにとって、飼い猫の夜泣きは深刻な問題です。飼い主さんご家族だけでなく近隣のお家にも影響が及んで、ご近所トラブルに発展、、、なんてケースもないわけではありません。今回は猫ちゃんの夜泣きの原因を探りながら、飼い主さんにできる対策について考えてみましょう!
まず、飼い猫ちゃんの夜鳴きが病気なのか?という事を考える必要があります。そもそもネコ科動物は夜行性で、昼間は寝て過ごし、夜は活動的になります。夜鳴きでないとしても、夜に運動会を繰り広げる、いたずらをしてしまうのはネコ科動物としては正常な行動様式です。また、発情期の雄および雌猫ちゃんにとって、夜鳴きはパートナーを探すための重要な儀式です。室内猫でパートナーを探せる可能性がゼロだとしても、猫ちゃんにはわからないですよね。上記は、猫ちゃんにとって「正常」な行動が人間の生活スタイルと合わないだけであって、病気ではありません。ですので、猫ちゃんの生活スタイルを人間に合わせられるように、こちら側も努力をしてあげる必要があります。もともと夜行性の猫ちゃんに夜寝てもらうためには、お昼間に運動をさせてあげる事が大事です。猫ちゃんが好きな運動グッズで運動させてあげる事や、猫ちゃんが運動できるような環境整備をしてあげるとよいでしょう。また、餌の時間やトイレの時間を人間の生活スタイルに合わせて設定してあげる事も非常に大事です。毎日決まった時間に食事をあげる事で、自然と猫ちゃんも人間と同じような生活サイクルに順応していきます。発情期の猫ちゃんに対しては、仔猫ちゃんの希望がないのであれば、去勢や避妊手術をしてあげる事が最適解です。去勢や避妊手術をしてあげる事は、スプレー行動や生殖器に関連する病気を予防する観点でもメリットがあります。
一方、病気とまでは言えないけど、ストレスや加齢に伴って誘発される夜鳴きもあります。おトイレがうまくできない、ストレスがたまって夜鳴き以外にも誤食などの問題行動がある、といった場合はストレスの特定と除去が必要です。おトイレ問題を解決する事は、夜鳴きを改善するのに有効であるケースが多いです。おトイレの場所、トイレタリーの種類、清浄度をもう一度見直してみてください。それ以外にもストレスはないでしょうか?最近、同居猫ちゃんが増えた、知らない人間が頻繁に出入りする、猫の嫌いなものや臭いが近くにある、等も隠れたストレスになっている可能性があります。人間もストレスがあると寝言や歯ぎしりがひどくなります。猫ちゃんのストレスチェックは夜鳴きに限らず大事です!
現在、猫ちゃんの平均寿命は15歳と言われ、20歳まで生きてくれる猫ちゃんも珍しくなくなってきました。猫ちゃんにも痴ほう症状はもちろんあります。適切なスキンシップをとってあげた上で、加齢に伴う夜鳴きは受け入れてあげる必要もあるかもしれませんね。
コラムの執筆者
所属研究室:麻布大学 獣医学部 獣医学科 薬理学研究室
福山 朋季先生
東京農工大学農学部獣医学科を2004年に卒業後,一般企業および米国獣医系大学(ノースカロラ イナ州立大学)で医薬品,化粧品,農薬,一般化学物質および動物用医薬品の安全性や薬効確認の 研究に従事し,2018年10月に麻布大学に赴任させていただきました。
現職では,①環境中物質が免疫機能に及ぼす影響評価,②ヒトや伴侶動物(ワンちゃんやネコちゃん )のアレルギー病態解明および対策商品の開発,③ワンちゃんやネコちゃんの歯周病機序解明および 新しいケア商品の開発,を関連する企業様と協力して実施させていただいております。