皆様こんにちは，麻布大学獣医学部 薬理学研究室の福山です。
緊急事態宣言もようやく開け，新型コロナウィルス感染者数も日に日に減少してきました。新型コロナウィルスといえば，ネコちゃんへの感染はどうなのでしょうか？
最近ポーランドで実施されたネコちゃん279例の研究では，1.79%で新型コロナウィルスに対する陽性反応が見られ，5例で新型コロナウィルスに対する抗体が検出されたようです。
ネコ科の動物は新型コロナウィルスの感受性が他の動物種と比較して高いとの報告もありますが，人から猫への感染事例は報告されておらず，基本ステイホームのネコちゃんは安心のようです。

さて，今回は前回に引き続きお家でできるネコちゃんの腎臓病ケア第二弾です。

③飲水

ネコちゃんがきちんとお水を飲めているかは，腎臓の健康維持にとても大事です。 飲んでいると思っていたら，実は慢性的に脱水状態だったという事も良くあります。
ネコちゃんがお水をきちんと飲めているかを確認するのは大変ですが，慢性的な脱水はネコちゃんの腎臓病リスクを確実に高めますので，この機会に確認してみましょう！
あんまり飲んでないなという場合は，お家のいろんな場所に水飲み場を用意しておくと，自分の気に入った場所を見つけて飲めるようになります。

我が家のあずきちゃんもお水専用の器を用意しているにも関わらず，洗面台からお水を飲むのが好きです。
ネコちゃんの脱水状態は背中の皮をつかんでその戻り具合で確認できます。きちんと水分があればすぐに戻りますが，脱水していると皮の戻りが遅くなります。

④歯周病

第3回でもお話をしましたが，最近の研究では，歯周病がネコちゃんの腎臓病リスクを確実に高めていると報告されています。
歯周病は腎臓病だけでなく，神経疾患，消化器疾患，肝疾患，皮膚疾患のリスクも高めていると言われていますので，口腔内だけでなく全身の健康維持のためにも，歯周病の予防・治療は是非行ってください。

ネコちゃんはお口の中を見せるのを嫌がるため，歯周病の進行がわかりにくいですが，魚の腐ったような口臭がする，口内炎で餌を食べにくそうにしている場合は要注意です！
歯周病ケアに関しては私共で実施している取り組みを別の機会にご紹介させていただきます。

⑤トイレ

お水を飲むのと同じくらい，おしっこをきちんとできているかは腎臓の健康維持には大事です！
皆さんのお家のトイレは猫ちゃんがストレスなくできるようになっていますでしょうか？

というわけで，今回は字数の関係上，トイレの話が途中になってしまいました。
次回はネコちゃんにとって快適なトイレをテーマにお話をさせていただきたいと思います。

コラムの執筆者

所属研究室：麻布大学 獣医学部 獣医学科 薬理学研究室

福山 朋季先生

東京農工大学農学部獣医学科を2004年に卒業後，一般企業および米国獣医系大学（ノースカロラ イナ州立大学）で医薬品，化粧品，農薬，一般化学物質および動物用医薬品の安全性や薬効確認の 研究に従事し，2018年10月に麻布大学に赴任させていただきました。
現職では，①環境中物質が免疫機能に及ぼす影響評価，②ヒトや伴侶動物（ワンちゃんやネコちゃん ）のアレルギー病態解明および対策商品の開発，③ワンちゃんやネコちゃんの歯周病機序解明および 新しいケア商品の開発，を関連する企業様と協力して実施させていただいております。

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