皆様こんにちは,麻布大学獣医学部 薬理学研究室の福山です。
この記事を皆さんに読んで頂くときは既に2022年になっているでしょうか?
読者の皆さん、そして皆さんの猫ちゃんにとって2022年が良い年であることをお祈りしております。
さて,今回は私にとってもチャレンジングなテーマ、猫のトイレタリーの歴史についてです。
そもそも猫はいつくらいから人間と同居し始めたのでしょう?
犬および猫は野生動物だったものが家畜化されることでペットとしての歴史が始まっています。
犬はしつけがしやすく、狩猟のパートナーとして1万年以上前に家畜化されたとの記録が残っています。
ペットとしての同居が始まったのは、欧米および日本ともに中世になってからで、実際に英国のヘンリー8世は愛犬家として知らており、日本でも江戸時代になると中流階級にまでペットとしての犬の飼育が行われていたようです(飼育方法を詳細に書いた犬狗養蓄傳(いぬくようちくでん)等の書物も 残されています)。
一方、猫の家畜化は犬よりも遅く、穀物をネズミから守るためにエジプト時代(紀元前4000年頃)から始まったと言われています。
犬よりも小型で飼育がしやすい一方、魔女と紐付けられることも多く、ペットとしての歴史は犬と同様に中世になってからと言われています。
ペットとしての猫が存在し始めると当然、猫のトイレタリーの必要性も生じるのですが、人間のトイレも発展段階の中世では猫まで手が回らなかっただろうなと言うのが推測です(実際中世ヨーロッパ諸都市は人間の汚物で溢れていたようですし、、、)。
戦後、下水施設が急速に発展し、人間のトイレ事情は著しく改善されましたが、私が子供の頃(1980~90年代)まで、猫は放し飼い(半野良)が殆どで、「トイレは外でするもの」という認識が大半でした。
獣医療の発達に伴い、猫の屋外飼育の危険性に警鐘が鳴らされ始めたのとともに、日本では2002年の動物愛護管理法の改正で猫の室内飼育が原則となったことから猫用の屋内トイレタリーが急速に浸透・発展を遂げました。
私も調査をしていて驚いたのですが、猫のトイレタリーの歴史って意外と浅く、せいぜい30年位なのですね。
私自身が勉強になった今回の調査でした。これまで、猫ちゃんの腎臓病→トイレタリーの種類や歴史について解説をさせていただきました。
次回はガラッと趣向を変えて、これから新しく猫ちゃんを迎えようかな?と考えている方への情報を共有できればと考えています。
コラムの執筆者
所属研究室:麻布大学 獣医学部 獣医学科 薬理学研究室
福山 朋季先生
東京農工大学農学部獣医学科を2004年に卒業後,一般企業および米国獣医系大学(ノースカロラ イナ州立大学)で医薬品,化粧品,農薬,一般化学物質および動物用医薬品の安全性や薬効確認の 研究に従事し,2018年10月に麻布大学に赴任させていただきました。
現職では,①環境中物質が免疫機能に及ぼす影響評価,②ヒトや伴侶動物(ワンちゃんやネコちゃん )のアレルギー病態解明および対策商品の開発,③ワンちゃんやネコちゃんの歯周病機序解明および 新しいケア商品の開発,を関連する企業様と協力して実施させていただいております。