同じネコ科の動物でも赤道付近に住んでいるライオンやチーターがいたり、寒冷地域に住むヤマネコがいたりします。好きかどうかは別として、猫ちゃんに限らず、他の生物も居住環境に合わせて、身体を適用させて、生き残っているというのが答えでしょう。ですが、それではあんまりおもしろくないので、現代のお家で飼育されている家猫ちゃんはどちらが好きそうか?という視点でお話をしたいと思います。
まず、現代のイエネコの祖先は中東の砂漠地帯に生息していたリビアヤマネコと言われています。本来的には、乾燥した暑さに比較的強く、寒さはあまり得意ではないという性質を持っています。そうすると暑い夏の方が好きなのかな?と思います。ただ、日本の夏を考えるとどうでしょう?暑さと同時に雨が多く、湿度が非常に高いのが特徴です。猫ちゃんの適正な湿度は人間と同じく、40~60%位と言われています。猫ちゃんは温度以上に湿度の影響を強く受けると言われており、全身が毛で覆われていて肉球以外に汗のかけない猫ちゃんにとって、現代、特に日本の夏はエアコンがないと過ごしにくい季節と言えるかもしれません。人間と同じように高温多湿になると夏バテや食欲不振になりやすく、水分補給も上手でない猫ちゃんは体調を崩しやすくなる季節でもあります。
一方、イエネコの祖先を考えると寒さは苦手=冬も苦手と考えられますが、現代日本がかなり暖冬になっている事、寒さは体毛を伸ばす、日向ぼっこをする、こたつや布団に入る、飼い主のそばにくっつくなど、夏と比較すると自分で快適な温度を作れるように思います。湿度が低い事に関しては、高いときと同じように病気のリスクにはなりえますので、飼い主側のケアが必要になります。ただ、現代日本の家猫ちゃんにとっては、夏よりも冬の方が調整しやすい環境と言えるかもしれません。
ただ、「寒い冬」が好きなのではなく、暖かい場所でぬくぬくできる環境が好きというのが正確な表現で、長毛種と比較して、短毛種は寒さが苦手など、品種や個体差も当然あります。お家の猫ちゃんの様子を観察しながら、それぞれの季節で過ごしやすい環境を設定してあげるのがよいと思います。

コラムの執筆者
所属研究室:麻布大学 獣医学部 獣医学科 薬理学研究室
福山 朋季先生
東京農工大学農学部獣医学科を2004年に卒業後,一般企業および米国獣医系大学(ノースカロラ イナ州立大学)で医薬品,化粧品,農薬,一般化学物質および動物用医薬品の安全性や薬効確認の 研究に従事し,2018年10月に麻布大学に赴任させていただきました。
現職では,①環境中物質が免疫機能に及ぼす影響評価,②ヒトや伴侶動物(ワンちゃんやネコちゃん )のアレルギー病態解明および対策商品の開発,③ワンちゃんやネコちゃんの歯周病機序解明および 新しいケア商品の開発,を関連する企業様と協力して実施させていただいております。






