猫ちゃんの場合、複数飼いをされている方が多いと思います。兄弟の複数飼育の場合は問題ないと思いますが、先住猫ちゃんがいる環境でどのように新しい猫ちゃんとコミュニケーションをとらせていくかというのはとても大きなポイントです。先住猫ちゃんとの相性を見て新しい猫ちゃんをお迎えするかを決めるという場合は、早い段階で2匹(もしくはそれ以上)を引き合わせてみて(それにしても少しずつ慣れさせる必要はありますが、、、)、相性が悪ければ諦めるというのも一つの方法です。
一方、お迎えする事が前提の場合は、いきなり同じ環境に先住猫ちゃんと新しい猫ちゃんを存在させるのではなく、最初は別々の環境(寝床、食事、トイレはもちろん、できればお部屋も)を用意して、何となくお互いの存在(臭い等)を感じさせるところから始めるべきでしょう。ネコ科動物は縄張りを持つ動物です。家猫ちゃんにとってみれば、お家の中が自分のテリトリーなわけですから、それが突然知らない猫ちゃんに荒らされると、内心穏やかではありません。縄張りの中に新しい猫ちゃんを突然入れるのではなく、場所を隔離して、新しい猫ちゃんを入れてあげるようにしましょう。
おトイレや食事も猫ちゃんによって、臭いや形、場所の好みが分かれます。特におトイレはそれぞれの猫ちゃんの健康状態を確認する大事な要素ですので、最初だけに限らず、複数飼育される場合は各猫ちゃん用に分けてあげるのが良いです。猫ちゃんの相性にもよりますが、何となくお互いの存在を許容できるようになるとお互いに少しずつあゆみ寄る、家の中でそれぞれのテリトリーを見つけて、それぞれ侵略しないように妥協点を探せるようになります。
長いとその期間は数か月になる事もありますので、先住猫ちゃんがいらっしゃるご家庭で新しい猫ちゃんを検討される場合は、それぞれの猫ちゃんの環境を分けられるような広さが確保できる事、気長に猫ちゃんが慣れるのを待つという事が大事です。お迎えしたい気持ちはもちろんわかるものの、先住猫ちゃんにストレスがかからないようなお迎えを事前に準備できるとよいですね!

コラムの執筆者
所属研究室:麻布大学 獣医学部 獣医学科 薬理学研究室
福山 朋季先生
東京農工大学農学部獣医学科を2004年に卒業後,一般企業および米国獣医系大学(ノースカロラ イナ州立大学)で医薬品,化粧品,農薬,一般化学物質および動物用医薬品の安全性や薬効確認の 研究に従事し,2018年10月に麻布大学に赴任させていただきました。
現職では,①環境中物質が免疫機能に及ぼす影響評価,②ヒトや伴侶動物(ワンちゃんやネコちゃん )のアレルギー病態解明および対策商品の開発,③ワンちゃんやネコちゃんの歯周病機序解明および 新しいケア商品の開発,を関連する企業様と協力して実施させていただいております。