COLUMN
コラム
お家でできるオーラルケア – 歯磨き -
2023.07.11
皆様こんにちは、麻布大学獣医学部 薬理学研究室の福山です。
前回は歯石除去における全身麻酔の重要性についてお話させていただきました。歯周病予防には動物病院でできるケア以上に普段からのお家でのデンタルケアが大事です。今日はお家ではどんなオーラルケアをしたらいいの?についてお話させていただきます。
さて、皆さんは一日何回歯磨きをされていますか?多くの人が毎食後の2〜3回とお答えになると思います。前回までにお話しした通り、ワンちゃんの歯磨き回数が人間よりも少なくて良いという理由はありません。できれば毎食後に磨いてあげるのがベストです。とは言え、人間と違ってワンちゃんは自分で歯磨きをしてくれないので、飼い主さんがしてあげないといけません。
当然、うちのワンちゃんは歯磨きを嫌がる、毎食後はさすがに時間がない、とご事情は当然あると思います。これからその代替案をご紹介していきますが、「ホームデンタルケアの最上位は歯磨き」という事を覚えていただき、できる範囲で歯磨きをする事を念頭に置いていただけると嬉しいです。
次に歯ブラシの種類です。人間でも毛先が丸くなっているラウンド毛タイプ、毛先が細くなっている極細毛タイプ、混合タイプ、、、たくさんあってどれを選んでよいか迷ってしまいますね。簡単に言うと、太くて硬めの歯ブラシは歯全体を表面的にきれいにするため、細くて柔らかい歯ブラシは太毛が届きにくい細かな所、特に歯周ポケットを掃除するためのものです。ワンちゃんにとって注意すべき口腔疾患は歯周病ですので、歯周ポケット磨きができるかできないかは、ワンちゃんのオーラルケアの精度を上げるために非常に大事です。ワンちゃん用の歯ブラシも販売されていますが、種類が少ない、大型犬には小さすぎるという場合は人間用の歯ブラシを転用していただいて構いません。
まずは、ご自宅のワンちゃんにあった歯ブラシ、できたら歯間や歯周ポケットに適用できる歯ブラシを一本持っておくとよいでしょう。ウェットティッシュタイプや布を使って歯磨きをされているケースをよくお聞きします。これは太毛タイプの歯ブラシと同じで、見えている歯の表面の歯垢や汚れをきれいにする目的で利用されます。歯周ポケット磨きとは別枠で考えられるとよいかなと思います。
今回は歯磨きの重要性、ワンちゃんにとって必要な歯ブラシについてお話をさせていただきました。次回は歯磨きの方法とワンちゃんの歯磨き粉?についてお話をさせていただきます。
コラムの執筆者
所属研究室:麻布大学 獣医学部 獣医学科 薬理学研究室
福山 朋季先生
東京農工大学農学部獣医学科を2004年に卒業後,一般企業および米国獣医系大学(ノースカロラ イナ州立大学)で医薬品,化粧品,農薬,一般化学物質および動物用医薬品の安全性や薬効確認の 研究に従事し,2018年10月に麻布大学に赴任させていただきました。
現職では,①環境中物質が免疫機能に及ぼす影響評価,②ヒトや伴侶動物(ワンちゃんやネコちゃん )のアレルギー病態解明および対策商品の開発,③ワンちゃんやネコちゃんの歯周病機序解明および 新しいケア商品の開発,を関連する企業様と協力して実施させていただいております。