COLUMN

コラム

わんちゃんのオーラルケア①

2022.08.03

皆様こんにちは、麻布大学獣医学部 薬理学研究室の福山です。
前回までにワンちゃんの歯周病および口臭について、そして歯周病は若いときからの予防が大事というお話をさせていただきました。
今日からはワンちゃんのオーラルケアについて、動物病院でお願いする事、ご自宅でできる事をご紹介していきます。

「ワンちゃんにも歯周病予防が大事です!」と言われても何から始めればよいでしょう?
ワンちゃんの状態に応じてやらなければならない事は変わってきますので、まずは現状把握から始めましょう。
1歳齢未満でお家に迎えたばかりの場合、口腔内もまだ健康で、歯磨きトレーニングなどもしやすい場合が多く、予防に重点を置いた自宅ケアがメインとなります。
できれば一度獣医さんに診てもらってから、お家でできるオーラルケアを検討されるとよいでしょう。

一方、2歳齢以上で歯垢がついている、歯茎が赤くなっている、口臭が気になる場合は、既に歯周病が進行している可能性が高く、治療が必要な場合もあります。
早めに歯科を専門とされている獣医さんに診てもらってください。
獣医さんでのオーラルケアというと、「全身麻酔下での歯石除去」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
全身麻酔と聞くと、「危ないんじゃ、、、」というイメージが強く、実際に安価に無麻酔での歯石除去を提供している施設を利用されている方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、全身麻酔をかける事のリスクはあります。しかし、歯石除去における麻酔はワンちゃんの安全を確保しつつ、意味のある施術を実施するために必要です。
無麻酔で暴れるワンちゃんを押さえつける事は大きなけがのリスクにつながり、除去した歯垢歯石を誤嚥することによって、肺炎を併発する危険性も高くなります。
また、無麻酔では見える部分しか処置できず、歯周病菌が本来住んでいる「歯周ポケット内」のクリーニングはできません。
歯科を専門に実施されている歯医者さんであればワンちゃんの状態にあった処置を提案してくれます。是非、ワンちゃんにあった「歯医者さん」を早めに探しあててください!

次回はお家でできるオーラルケアをお話していきたいと思います。

コラムの執筆者

所属研究室:麻布大学 獣医学部 獣医学科 薬理学研究室

福山 朋季先生

東京農工大学農学部獣医学科を2004年に卒業後,一般企業および米国獣医系大学(ノースカロラ イナ州立大学)で医薬品,化粧品,農薬,一般化学物質および動物用医薬品の安全性や薬効確認の 研究に従事し,2018年10月に麻布大学に赴任させていただきました。
現職では,①環境中物質が免疫機能に及ぼす影響評価,②ヒトや伴侶動物(ワンちゃんやネコちゃん )のアレルギー病態解明および対策商品の開発,③ワンちゃんやネコちゃんの歯周病機序解明および 新しいケア商品の開発,を関連する企業様と協力して実施させていただいております。

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